賃貸不動産管理の専門家「賃貸不動産経営管理士」の育成を通じ、賃貸不動産管理業のさらなる発展と適正化を目指す協議会のサイトです。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図るため、サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化のための措置を講ずるとともに、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保する法律です。

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、法律)における、賃貸住宅管理業務を行ううえで設置が義務付けられている「業務管理者」の要件として定められていることに加え、法律に則った適正な管理業務を行ううえで、幅広い専門知識と経験、倫理観を兼ね備えた資格者の役割が期待されているところです。

法律の背景・目的

賃貸住宅の管理は、自ら管理を行うオーナーがかつては中心でしたが、近年はオーナーの高齢化や相続等に伴う兼業化の進展、管理内容の高度化等により、管理業者に管理を委託等するオーナーが増加しています。オーナーと入居者との関係に管理業者の介在が増える中で、管理業者とオーナー、あるいは入居者との間でトラブルが多く発生しています。また、賃貸経営を管理業者にいわば一任できる“サブリース方式”が普及していますが、このサブリース方式では、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化しています。

また、賃貸住宅は、賃貸住宅志向の高まりや単身世帯・外国人居住者の増加等を背景に、国民生活の基盤としての重要性は増しており、今後もその増大が見込まれます。

以上のような情勢を背景に、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律は、賃貸住宅管理業者の登録制度、サブリース契約の適正化に係る措置等を創設することにより、賃貸住宅管理業がオーナー・入居者から一層の信頼を受け、国民生活の安定向上に不可欠な事業として健全に発展し、国として良好な居住環境を備えた賃貸住宅の確保等を図ることを目的としています。

※賃貸住宅とは、賃貸借契約を締結し賃借することを目的とした、人の居住の用に供にする家屋、または家屋の部分のことをいいます。なお、「住宅」は利用形態として「人の居住の用に供する」ことが要件とされているため、オフィスや倉庫等は該当しません。

施行日

(1)賃貸住宅管理業に係る登録制度

令和3年6月15日

(2)特定賃貸借契約の適正化のための措置等

令和2年12月15日

法律の概要

賃貸住宅管理業に係る登録制度

賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、
業界の健全な発展・育成を図るため、賃貸住宅管理業者の登録制度が創設されました。

1
賃貸住宅管理業
賃貸住宅管理業とは
賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、以下の「管理業務」を行う事業。
管理業務
  • (1)管理委託に係る賃貸住宅の維持保全を行う業務
  • (2)賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務
    ((1)の業務と併せて行うものに限る。)
の登録(法律第三条)

委託を受けて賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全、金銭の管理)を行う事業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を義務付けられます。特定転貸事業者については、一般的に特定賃貸借契約又は当該特定賃貸借契約に付随する契約により、本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、賃貸人からの依頼により賃貸人に代わって行っており、この場合における特定転貸事業者は賃貸住宅管理業を営んでいるものと解されることから、当該特定転貸借事業者の事業規模が200戸未満である場合を除き、登録を受けなければなりません。

  • 賃貸住宅管理業に係る賃貸住宅の戸数が200戸未満の事業者は任意登録です。
  • 登録申請をする場合は、登録免許税法に基づき、申請件数1件あたり9万円を納付するものとします。
  • 5年毎に更新が必要です。

    更新に必要な手数料は18,700円です。オンラインにより更新申請を行う場合は、18,000円です。

    (なお、更新手数料の納付先は、更新の申請を行う地方整備局等とします。)

【ポイント】

・賃貸住宅の戸数の数え方は、入居者との間で締結されることが想定される賃貸借契約の数をベースとして数えるもの等とします。

・200戸未満の事業者は任意登録ですが、管理戸数が一時的にでもこの数を超える見込みがあれば、登録を受けることが適当です。

2賃貸住宅管理業者の業務における義務付け(法律第十条〜第二十一条)
(1)業務管理者の配置(第十二条)

営業所又は事務所ごとに、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する業務管理者を1名以上配置しなければなりません。

【ポイント】

※営業所又は事務所ごとに1人以上の業務管理者を選任しなかったときや、業務管理者が欠けた状態で管理受託契約を締結したときは罰則や監督処分の対象となります。(30万円以下の罰金、7日間の業務停止)

※業務管理者が宅地建物取引士も兼務する等他の業務を兼務することが法違反となるものではありませんが、入居者の居住の安定の確保等の観点から管理業務等について必要な指導、管理、及び監督の業務に従事できる必要があります。

【業務管理者の要件(法律施行規則第14条)】

管理業務に関し2年以上の実務経験を有する者で

①登録試験に合格し登録した者(第1号)

※令和4年6月15日までに賃貸不動産経営管理士として登録した者で「移行講習(業務管理者移行講習)」を修了した者は上記①とみなす。(附則第2条及び告示)

②宅地建物取引士で「指定講習(賃貸住宅管理業業務管理者講習)」を修了した者(第2号)

【業務管理者の職務】

管理受託契約の契約内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するために必要な以下の事項について、管理及び監督を行う。
  • ❶法第13条の規定による説明及び書面の交付に関する事項(重要事項説明及び書面の交付)
  • ❷法第14条の規定による書面の交付に関する事項(管理受託契約書の交付)
  • ❸賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
  • ❹法第18条の規定による帳簿の備付け等に関する事項
  • ❺法第20条の規定による定期報告に関する事項(オーナーへの定期報告)
  • ❻法第21条の規定による秘密の保持に関する事項
  • ❼賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
  • ❽前各号に掲げるもののほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項
(2)管理受託契約締結前の重要事項の説明(第十三条)

具体的な管理業務の内容・実施方法等について書面を交付して説明しなければなりません。(重要事項説明)

①重要事項説明者

業務管理者によって行われることは必ずしも必要ではありませんが、業務管理者又は賃貸不動産経営管理士等の一定の実務経験を有する者など専門的な知識及び経験を有する者が行うことを推奨されています。

②重要事項の説明のタイミング

オーナーが契約内容を十分に理解したうえで契約を締結できるよう、説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことが望ましいとされています。重要事項の説明から契約締結までの期間を短くせざるを得ない場合には、事前に管理受託重要事項説明書等を送付し、その送付から一定期間後に、説明を実施するなどして、管理受託契約を委託しようとする者が契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとることが推奨されています。

【締結前の重要事項説明において必要な記載項目】

  • ❶管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
  • ❷管理業務の対象となる賃貸住宅
  • ❸管理業務の内容
  • ❹管理業務の実施方法
  • ❺管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
  • ❻責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
  • ❼法第二十条の規定による委託者への報告に関する事項
  • ❽契約期間に関する事項
  • ❾報酬、支払時期及び方法に関する事項
  • ❿賃貸住宅の入居者に対する❸,❹の周知に関する事項
  • ⓫❾の報酬に含まれていない管理業務に関する費用の内容
  • ⓬契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
(3)財産の分別管理(第十六条)

管理する家賃等について、事業者の自己の固有の財産等と入居者等からの受領する金銭を分別して管理しなければなりません。

【分別管理に必要な要件(①、②両方の要件を満たす必要があります。)】

  • ①口座分別の方法により、管理業務において受領する家賃・敷金等の金銭を管理するための口座を自己の固有財産を管理するための口座と分別して管理する方法(契約者ごとに口座を設けることは求めない)
  • ②受領した金銭がいずれの管理受託契約に基づく管理業務に係るものであるかが帳簿や会計ソフト上で、直ちに判別できる状態で管理する方法
(4)定期報告(第二十条)

賃貸住宅管理業者は、法第20条の規定により委託者への報告を行うときは、管理受託契約を締結した日から1年を超えない期間ごとに、及び管理受託契約の期間満了後遅滞なく、以下の事項を記載した管理業務報告書を作成し、委託者に交付して説明しなければなりません。

【報告すべき事項】

  • ①報告の対象となる期間
  • ②管理業務の実施状況
  • ③管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況
特定賃貸借契約
特定賃貸借契約とは

賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が、当該賃貸住宅を転貸する事業を営むことを目的として締結されるもの。

の適正化のための措置等(法律第二十八条~第三十六条)
  • ○トラブル防止のため、全ての
    サブリース業者
    サブリース業者(特定転貸事業者)とは

    特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅をを第三者に転貸する事業を営む者をいう。

    ※事業を営むとは
    • ・営利の意思を持って反復継続的に転貸することをいうもの。
    • ・営利の意思の有無は、客観的に判断される。
    • ・個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は、特定賃貸借契約に該当しない。
    の勧誘時や契約締結時に一定の規制が導入されます。
  • ○サブリース業者と組んでサブリースによる
    賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)
    勧誘者とは

    勧誘者とは、「サブリース業者がマスターリース契約の締結についての勧誘を行わせる者」であり、①特定のサブリース業者と特定の関係性を有する者であって、②当該サブリース業者のマスターリース契約の締結に向けた勧誘を行う者である。

    についても、勧誘の適正化のため規制の対象となります。
  • ○違反者に対しては、業務停止命令や罰金等の措置が課せられることにより、実効性が担保されます。
1誇大広告等の禁止(第二十八条)

サブリース業者・勧誘者による特定賃貸借契約(マスターリース契約)の条件について広告するとき、以下の事項について著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良である等誤認させる表示が禁止されます。

(1)広告の表示に関する留意事項と具体例
強調表示と打消し表示
強調表示と打消し表示とは
【強調表示】

事業者が、自己の販売する商品・サービスを一般消費者に訴求する方法として、断定的表現や目立つ表現などを使って、品質等の内容や価格等の取引条件を強調した表示

【打消し表示】

強調表示からは一般消費者が通常は予期できない事項であって、一般消費者が商品・サービスを選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示

強調打消

明確かつ正確な表示を確保するためには、マスターリース契約の長所に係る表示のみを強調、短所に係る表示が目立ちにくい表示を行っていないかについても留意が必要です。

【チェック】
適切と考えられる文字の大きさで表示されているか。
打消し表示が強調表示の近くに表示されていたとしても、気づくことができないような表示になっていないか。
強調表示が表示された後、画面が切り替わって打消し表示が表示され、打消し表示に気づかない、またはどの強調表示に対する打消し表示であるか認識できないような表示になっていないか。
→適切かどうかは、自分が広告を見る側に立った時にその表示に気付けるか考えましょう
【ポイント】
体験談

広告を読んだ人が、体験談含めた広告全体から「マスターリース契約を締結することで、大多数の人が同じようなメリットを享受することができる」という認識を抱いてしまうことがあります。
体験談と異なる事例が一定数存在する場合、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません」といった打消し表示を明瞭に記載していたとしても、体験談自体が第28条違反となる可能性がある為、使用は避けるべきです。

「著しく事実に相違する表示」
著しく事実に相違する表示とは

広告に記載されている内容が実際のマスターリース契約の内容と異なる表示

「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは著しく有利であると人を誤認させるような表示」
実際のものよりも著しく優良であり、若しくは著しく有利であると人を誤認させるような表示とは

マスターリース契約の内容等についての専門的知識や情報を有していないオーナーを誤認させる表示

事実相違
優良誤認

上記の表示に該当するか否かの判断については、広告に記載された一つ一つの文言等からだけではなく、オーナーとなろうとする方が、広告の表示全体から受ける印象・認識によって総合的に判断されます。

(2)誇大広告等をしてはならない事項と具体例
①サブリース業者がオーナーに支払うべき家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
→サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額、支払期日、その支払方法、当該額の見直しがある場合はその見直し時期、
借地借家法第32条
借地借家法第32条

第1項 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

第3項 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

に基づく家賃の減額請求権及び利回り等が挙げられます。
具体例 該当する問題点
契約期間内に定期的な家賃の見直しや借地借家法に基づきサブリース業者からの減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示せず、「●年家賃保証!」「支払い家賃は契約期間内確実に保証!収入が一切下がりません!」といった表示をして、当該期間家賃収入が保証されているかのように誤解されるような表示をしている。 強調打消
事実相違
優良誤認
「●年家賃保証」という記載に隣接する箇所に、定期的な見直しがあること等のリスク情報について表示せず、離れた箇所に表示している。 強調打消
実際は記載された期間より短い期間毎に家賃の見直しがあり、収支シミュレーション通りの収入を得られるわけではないにも関わらず、その旨や収支シミュレーションの前提となる仮定(稼働率、家賃変動等)を表示せず、●年間の賃貸経営の収支シミュレーションを表示している。 強調打消
事実相違
実際は記載の期間より短い期間で家賃の改定があるにもかかわらず、オーナーの声として●年間家賃収入が保証されるような経験談を表示している。 体験談
広告に記載された利回りが実際の利回りを大きく上回っている。 優良誤認
利回りを表示する際に、表面利回りか実質利回りかが明確にされていなかったり、表面利回りの場合に、その旨及び諸経費を考慮する必要がある旨を表示していない。 強調打消
根拠を示さず、「ローン返済期間は実質負担0」といった表示をしている。 優良誤認
根拠のない算出基準で算出した家賃をもとに、「周辺相場よりも当社は高く借り上げます」と表示している。 優良誤認
「一般的な賃貸経営は2年毎の更新や空室リスクがあるが、サブリースなら不動産会社が家賃保証するので安定した家賃収入を得られます。」といった、サブリース契約のメリットのみを表示している。 強調打消
②賃貸住宅の維持保全の実施方法
→サブリース業者が行う
賃貸住宅の維持保全
賃貸住宅の維持保全とは

居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である、玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等の設備等について、点検・清掃等の維持を行い、これらの点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うこと。

の内容、頻度、実施期間等が挙げられます。
具体例 該当する問題点
実際にはサブリース業者が実施しない維持保全の業務を実施するかのような表示をしている。 事実相違
実際は休日や深夜は受付業務のみ、又は全く対応されないにもかかわらず、「弊社では入居者専用フリーダイヤルコールセンターを設け、入居者様に万が一のトラブルも24時間対応しスピーディーに解決します」といった表示をしている。 事実相違
③賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項

→維持保全の費用を負担する者及び当該費用に関するサブリース業者とオーナーの負担割合

具体例 該当する問題点
実際には毎月オーナーから一定の費用を徴収して原状回復費用に当てているにも関わらず、「原状回復費負担なし」といった表示をしている。 事実相違
実際には、大規模修繕など一部の修繕費はオーナーが負担するにも関わらず、「修繕費負担なし」といった表示をしている。 事実相違
修繕費の大半がオーナー負担にもかかわらず、「オーナーによる維持保全は費用負担を含め一切不要!」といった表示をし、オーナー負担の表示がない。 強調打消
事実相違
維持保全の費用について、一定の上限額を超えるとオーナー負担になるにもかかわらず、「維持保全費用ゼロ」といった表示をしている。 事実相違
維持保全の費用について、実際には、他社でより低い利率の例があるにもかかわらず「月々の家賃総額のわずか●%という業界随一のお得なシステムです」といった表示をしている。 優良誤認
実際には客観的な根拠がないにもかかわらず、「維持保全の費用は他社の半分程度で済みます」といった表示をしている。 優良誤認
月額費用がかかるにもかかわらず、「当社で建築、サブリース契約を結ばれた場合、全ての住戸に家具家電を設置!入居者の負担が減るので空室リスクを減らせます!」と表示し、月額費用の表示がない。 強調打消
④マスターリース契約の解除に関する事項
→契約期間、契約の更新時期及び
借地借家法第28条
借地借家法第28条

賃貸人が、期間の定めのある賃貸借において更新拒絶の通知、期間の定めのない賃貸借において解約申入れを行うには、「正当事由」が必要。

【正当事由】
  • ①建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情
  • ②建物の賃貸借に関する従前の経過
  • ③建物の利用状況及び建物の現況
  • ④建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出
に基づく更新拒絶等の要件が挙げられます。
具体例 該当する問題点
契約期間中であっても業者から解約することが可能であるにも関わらずその旨を記載せずに、「30年一括借り上げ」「契約期間中、借り上げ続けます」「建物がある限り借り続けます」といった表示をしている。 強調打消
実際には借地借家法が適用され、オーナーからは正当事由がなければ解約できないにもかかわらず、「いつでも自由に解約できます」と表示している。 事実相違
実際には、契約を解除する場合は、月額家賃の数か月分を支払う必要があるにもかかわらずその旨を記載せずに、「いつでも借り上げ契約は解除できます」と表示している。 強調打消
2不当な勧誘行為の禁止(第二十九条)

サブリース業者・勧誘者が、誤った情報や不正確な情報による勧誘や強引な勧誘等、相手方の意思決定を歪めるような勧誘や、同様の方法により契約の解除を妨げる行為を行うことにより、オーナーとなろうとする者は、契約について正しい情報が得られず、また、契約について正しい判断ができない環境下に置かれることになり、甚大な損害を被ることになるため、以下の行為について禁止されています。

(1)マスターリース契約締結の勧誘、解除の妨げの
判断に影響を及ぼす重要事項
判断に影響を及ぼす重要事項とは
  • ・サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額等の賃貸の条件やその変更
  • ・サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び実施方法

契約期間に発生する費用負担、契約の更新又は解除に関する事項等、
当該事項の事実の不告知・不実告知により、相手方等の不利益に直結するものが該当

について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為の禁止
具体例
1)故意に事実を告げない行為 右記の事項をあえて伝えず、メリットのみ伝えるような勧誘行為 将来の家賃減額リスク
サブリース業者から契約解除の可能性
オーナーからの解約には正当事由が必要
維持保全、原状回復、大規模修繕等のオーナーが負担する費用等
右記の事項を勧誘時に告げないこと 家賃見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項
修繕に応じない場合には契約を更新しない
サブリース業者側に有利な条項
2)故意に不実のことを告げる行為 オーナーに支払われる家賃が減額される場合があるにもかかわらず、「家賃収入は将来にわたって確実に保証される」といったことを伝える行為
原状回復費用や大規模な修繕費用はオーナーが負担する場合もあるにもかかわらず、「費用は全て事業者負担である」といったことを伝える行為
近傍同種の家賃よりも明らかに高い家賃設定で、持続的にサブリース事業を行うことができないにもかかわらず、「周辺相場よりも当社は高く借り上げることができる」といったことを伝える行為
(2)サブリース業者等によるマスターリース契約に関する行為であって、オーナー等の保護に欠ける行為の禁止
①マスターリース契約の締結・更新、又は契約申込の撤回・解除妨害のため、オーナー等を
威迫する行為
威迫する行為とは

威迫する行為とは、「なぜ会わないのか」、「契約しないと帰さない」などと声を荒げ、面会を強要したり、拘束したりして相手方を動揺させるような行為

②マスターリース契約の締結・更新について、オーナー等に
迷惑を覚えさせるような時間
迷惑を覚えさせるような時間とは

迷惑を覚えさせるような時間とは、オーナー等に承諾を得ている場合を除き、特段の理由が無く、午後9時から午前8時までの時間帯

に電話又は訪問により勧誘する行為
③マスターリース契約の締結・更新について、私生活又は業務の平穏を害するような方法によりオーナー等を
困惑させる行為
困惑させる行為とは

オーナー等を困惑させる行為とは、深夜勧誘、長時間勧誘、勤務時間中であることを知りながらの執ような勧誘等

④マスターリース契約の締結又は更新をしない旨の意思(当該契約の締結又は更新の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したオーナー等に対して執ように勧誘する行為
【ポイント】

オーナー等が「契約を締結しない旨の意思」を表示した場合には、 "一度でも" 再勧誘行為を行えば違反に該当します。

※建設請負、賃貸住宅やその土地等の売買契約が伴うマスターリース契約の勧誘にあたっての留意点

賃貸住宅やその土地等を購入して賃貸住宅のオーナーとなろうとする者が、マスターリース契約を締結する前に賃貸住宅の購入や請負の契約を締結してしまうと、マスターリース契約の勧誘を受ける時点では、すでに多額の債務が発生している状況となってしまいます。したがって、賃貸住宅の購入や請負の契約を締結前に、リスクを十分に認識できるようにしなければなりません。

3特定賃貸借契約締結前の重要事項説明(第三十条)

オーナーとなろうとする方は、賃貸住宅を賃貸する事業の経験・専門知識に乏しいケースが多く、サブリース業者はそれを利用し、マスターリース契約締結時、家賃改定条件、契約解除条件等について、十分な説明を行わずオーナーとの間で大きなトラブルが多発しています。
オーナーとなろうとする方が契約内容を正しく理解した上で、適切なリスク判断のもと契約締結することができる環境を整えるため、サブリース業者に対し、契約締結前にオーナーとなろうとする方に書面交付・説明を義務づけています。

(1)重要事項の説明者

オーナーとなろうとする方が十分に理解をした上でマスターリース契約締結の意思決定ができるよう、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士(一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会の賃貸不動産経営管理士資格制度運営規程に基づく登録を受けている者)など専門的な知識及び経験を有する者によって重要事項について説明が行われることが望ましいです。

(2)重要事項の説明のタイミング

オーナーとなろうとする方がマスターリース契約の内容を十分に理解するため、契約締結までに1週間程度の十分な期間をおきましょう。重要事項の説明から契約締結までの期間を短くせざるを得ない場合には、事前に重要事項説明書等を送付し、重要事項説明書等の送付から一定期間後に、説明を実施するなどして、オーナーとなろうとする方が契約締結の判断を行うまでに十分な時間をとることが望ましいです。

(3)重要事項の説明事項

サブリース業者は、契約締結前に、重要事項説明書〈記載例〉の【記載事項】(1)~(14)を書面に記載し、説明しなければなりません。

※重要事項の書面による説明を行う際には、以下の「重要事項説明書記載例」に準拠した書面を用いることが望ましいです。

(4)ITを活用した重要事項の説明

サブリース業者は、マスターリース契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、重要事項説明書 に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。その場合は、以下の点に留意しましょう。
また、重要事項の説明にテレビ会議等のITを活用するに当たっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱います。

【電磁的方法による提供時の留意点】
  • ・相手方が重要事項説明書を確実に受け取れる方法(電子メール、WEBからのダウンロード、CD-ROM等)やファイルへの記録方法(使用ソフトウェアの形式やバージョン等)を示した上で、相手方の承諾が記録に残る方法(電子メール、WEBによる方法、CD-ROM等)で承諾を得る必要があります。
  • ・出力して書面を作成でき、改変が行われていないか確認できることが必要です。(例)電子署名等の活用
重要事項の説明にITを活用する場合の必須事項
《システム環境の準備》
  • ・図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認できること
  • ・発する音声を十分に聞き取ることができること
  • ・双方向でやりとりできること
《事前確認》
  • ・重要事項説明書及び添付書類をあらかじめ送付していること。(重要事項の説明を受けようとする者が承諾した場合は除く)
  • ・重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること。
  • ・映像及び音声の状況について、説明者が説明を開始する前に確認していること。
【ポイント】

・説明の相手方に事前に重要事項説明書等を送付しておくことを推奨するとともに、重要事項説明書等の送付から一定期間後に、IT重説を実施することが望ましいです。

4特定賃貸借契約締結時の書面交付(第三十一条)

サブリース事業者は、特定賃貸借契約を締結した時、オーナーとなろうとする方に対し、下表の【記載事項】1~13を記載した書面(例:特定賃貸借標準契約書)を交付しなければなりません。

【記載事項】
No. 事項 契約書内の記載位置
1 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所 冒頭、借主(乙)
2 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅 頭書(1)賃貸借の目的物
3 契約期間に関する事項 頭書(2)契約期間
4 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項 頭書(4)家賃等、(5)家賃支払義務発生日
5 転借人に対する法第31条第1項第3号に掲げる事項の周知に関する事項 (維持保全の内容等の転借人に対する周知)第12条
6 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法 頭書(6)乙が行う維持保全の実施方法
7 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項 頭書(7)賃貸住宅の維持保全の費用分担
8 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項 頭書(8)転貸の条件
9 契約の更新または解除に関する定めがあるときは、その内容 (契約の期間)第2条、
(契約の解除)第18条
10 特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項 (維持保全の実施状況の報告)第13条
11 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容 (善管注意義務)第14条、
(特約条項)
12 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
13 特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項 (権利義務の承継)第21条